合併の苦い思い出(前) : 安達司法書士.comブログ

2005年05月09日

合併の苦い思い出(前)

それは、平成9年商法改正後の最初の合併案件でした。もう6年近く前のことです。


同一自動車メーカーのA自動車販売株式会社(以下、「A会社」といいます。)とB自動車販売株式会社(以下、「B会社」といいます。)の吸収合併のケースが、顧問弁護士を介して舞い込みました。このケースでは、B会社が債務超過の状態でしたので、規模の小さいB会社を存続会社とせざるを得ませんでした。

債務超過の状態にある会社を消滅会社とする吸収合併の登記は受理されません(昭56.9.26民四5707号民事局第四課長回答)。

合併期日と合併の日は異なります。合併期日は、実質的に合併手続が終了した日で合併契約書の必要的記載事項です(商409)。一方、合併の日は合併登記の申請日です(商416①,102)。


まずは、本件の概要から

  • 合併期日(10/1)をもって定款変更
  1. B会社の商号をA会社に変更
  2. B会社の本店をA会社の本店に変更
  3. B会社の目的をA会社の目的と同一内容に変更
  4. 本ケースのように定款の効力発生日を合併期日とした場合には、合併によらない定款変更を記載したにすぎません(商409)。

  • 合併期日をもって役員変更
  1. B会社の役員が総辞職し、A会社の現役員が新たに就任
  2. 登記申請前に就任承諾を取り付けておく必要があります。

  3. 合併期日にB会社取締役会を開催し、A会社の現代表取締役を新代表取締役に選任
  4. 本ケースのように合併期日に就任した取締役は、「合併後存続する株式会社の取締役であって合併前に就職したもの」(商414の3)に該当します。(商事法務1487.40)

  • 合併期日をもって本店移転
  1. 上記取締役会で、B会社本店所在地をA会社本店所在地に移転
  • 合併により新株を発行
  1. A会社(消滅会社)の純資産額の範囲内で新株を発行(商413の2)
  2. 存続会社の資本の増加額が消滅会社の資本の額より少ない場合でも資本減少の手続をとる必要はありません(平9.9.19民四1709号民事局長通達第2-1-(8))。

    合併による新株発行と授権枠との関係ですが、合併契約書に定める限り商法347条本文の適用はないと解釈し、合併後発行済となる株式総数の4倍の範囲内で合併後の発行する株式の総数を定めることができます。

続いて、手続きに話を進めます。

  1. 8月上旬に、合併契約が締結されました。
  2. 親会社である自動車メーカーの株式保有比率が50%超の子会社同士の合併でしたので、公正取引委員会への事前届出は不要でした。
  3. 8月下旬に、A会社、B会社でそれぞれ臨時株主総会総会が開催され合併契約が承認されました。
  4. 総会の翌日に債権者保護手続としての官報公告、催告書の発送を行いました(商412②、100①)。
  5. 平成15年4月から、債権者保護の公告や催告内容に決算公告の掲載事項が追加されました(商412①)。

  6. 合併比率の関係から、株式併合のための株券提供公告を行いました。
  7. 商法改正により、合併から株式併合・分割の準用規定は削除され、合併比率に関係なく株券提出手続は不要になりました。

  8. 債権者から特に異議の申し出もなく、9月下旬に異議申出期間並びに株券提出期間が満了しました。
  9. 合併期日開催の前記取締役会終了後、3件を同時申請しました。登録免許税の内訳は、①合併による変更分、役員変更分、登記事項の変更分、本店移転分②消滅会社解散③管轄外本店移転

管轄外の本店移転登記を同時に申請したにもかかわらず、予定よりも早く無事に(この時点では…)完了しました。


合併により、B会社はA会社と同一内容の法人に生まれ変わり、A会社は解散しました。


事件は、翌日の担当者の電話から始まりました。後編へ続く…

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