安達司法書士.comブログ:清算型遺言 - livedoor Blog(ブログ)

2005年08月03日

清算型遺言


新会社法の話題が暫く続きましたので、今回は、処理を終えたばかりの相続登記の話をさせてください。

この相続登記は、公正証書の遺言書が存在するにもかかわらず、遺産分割協議書を添付して申請した変則的なものでした。

それでは何故、遺言書を使用せずに遺産分割協議書を添付して登記申請を行ったかと言えば…

当該遺言の要旨は、「遺言者執行者は不動産を売却してその売却代金から負債を支払い残額を相続人全員に分配する」という清算型遺言でした。

当該遺言を執行しようとすれば、次の登記申請が必要になります。

  1. 売買による所有権移転登記の前提として、法定相続による所有権移転登記を行う(登研243号参照)。


  2. 登記権利者を買受人、登記義務者を相続人全員とする、売買による所有権移転登記を行う。
ちなみに、包括遺贈については、次のような先例・質疑応答があります。

  • 「遺言執行者は不動産を売却してその代金中より負債を支払い残額を受遺者に分配する」とある遺言状に基づき、遺言執行者が不動産を売却して買主名義に所有権移転の登記を申請する場合には、その前提として相続による所有権移転の登記を要する(昭和45.10.5民事甲第4160号民事局長回答)。


  • 売却による所有権移転の登記は、登記権利者を買受人、登記義務者を相続人全員とし、買受人と遺言執行者から遺言書を添付して申請できる(登研476号)。
遺言執行者は相続人の代理人(民1015)として、相続財産の管理その他遺言の執行に関する一切の行為をする権利義務を有します(民1012)。

したがって、メインの遺言者所有の不動産売却手続及び売却による所有権移転の登記は、買受人と遺言執行者で行えます。

しかし、前提としての法定相続による所有権移転登記は、共同相続であっても法定相続人の一人から保存行為(民898、252但書)として申請できるので、遺言執行者の関与する余地はない(「遺言執行者は相続人の代理人」参照)とされています。

本件では、遺言執行者が積極的に関与できない事情が存在したこと、さらに、相続人の員数が比較的多く、しかも、相続人が高齢かつ遠方に住んでいる方も多いという事情から、不動産の所有者を特定の相続人とする遺産分割協議を行いました。

これにより、所有権移転登記を含む不動産売却手続を円滑に処理できました。

言うまでもありませんが、売却代金の清算後の残額は、遺言どおり、相続人全員に分配されました。

注意不動産登記法の改正で、相続関係説明図をもって還付請求できる原本の種類が、戸籍(除籍・原戸籍を含む。)謄本に限定されました。遺産分割協議書(印鑑証明書付)・住民票は言うに及ばず、被相続人の死亡時の住所を証する住民除票・附票までも(大阪管内だけ!?)コピーを別途添付しなければ還付請求できなくなりました。

なお、従来の縦書きの相続関係説明図を使用される場合は、原本還付の文言である「相続及び住所を証する書面は還付した。」中、太字部分を削除するのをお忘れなく…


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horiemon3_ at 17:16│Comments(0)TrackBack(0)不動産登記 

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