安達司法書士.comブログ:100%減資が特別決議でできる!? - livedoor Blog(ブログ)

2006年01月18日

100%減資が特別決議でできる!?


現行の100%減資についての実務上の問題点については、過去ログ「100%減資」で採り上げました。

すなわち、債務超過に陥っている会社の任意整理の手段として、商法上の資本減少手続(商375 343)による100%減資を行うには、株主全員の同意を得ることが大きな壁になるという内容でした。

右へ登記実務では、商法上の特別決議による100%減資を認めていません。少数株主の権利保護のため、総株主の賛成が必要であるとする立場を採っています。

ところで、平成13年10月施行の商法改正によって、任意消却が「自己株式の取得+自己株式の消却(商212)」に分割されましたが、強制消却は資本減少の手段として残されました(商213)。

これが、新会社法では、強制消却も「自己株式の取得+自己株式の消却(178)」に分割されました。

そこで、100%減資を円滑に実施したいという経済界の要望に応えて、新会社法に「全部取得条項付種類株式」という種類株式が登場しました。

全部取得条項付種類株式とは…
  • 株主総会の特別決議により、その種類株式のすべてを総株主の同意なく強制取得できる株式をいいます(309↓掘171 法
  • 右へ「当該種類の株式について、当該株式会社が株主総会の決議によってその全部を取得すること。」(108´察
  • 全部取得条項付種類株式にする定款変更は、株主総会の特別決議でできます(324↓機111◆法
  • 少数株主の保護を図るために株式買取請求権が認められています(116´供111◆法
  • 会社が全部取得条項付種類株式を無償で取得することも可能です。
  • 右へ「全部取得条項付種類株式を取得するのと引換えに金銭等を交付するときは、…」(171´軌貮抜粋)
取得条項付株式もあります…
  • 株式会社が一定の事由が生じたことを条件として、当該株式を株主から取得することが出来る内容の株式です(219号)。
  • 現行の優先株式等の強制転換条項がこれに該当します。
  • 譲渡制限株式同様すべての株式の内容として定めることができます(107´掘法
  • 新たに取得条項付株式の定めを設ける定款変更を行うには、株主全員の同意が必要です(110、107´掘法
最後に、普通株式だけを発行している株式会社の100%減資について、現行商法下の決議事項と新会社法下のそれとを対比しましたので参考にしてください。

区  分 現行商法 新会社法
資本金の減少 資本減少決議
(375 
特別決議(343)
資本金の額の減少決議(447)
特別決議の原則(3099号)
定時総会における欠損填補の普通
  決議の特則(3099号括弧書)
増減資を同時に行い変更後の資本
  金が現在を下回らない場合の取締
  役会決議の特則(447)
欠損金の填補 資本減少決議事項
(375´掘
剰余金の処分決議(452、446掘
普通決議(309 
発行可能種類株式総数
及び発行する各種類の
株式の内容の変更
定款変更決議
  普通株式 ○○株
  優先株式 ○○株
  優先株式の内容
特別決議(343)
定款変更決議
  普通株式 ○○株
  優先株式 ○○株
  優先株式の内容
特別決議(30911号)
株式の強制消却 資本減少決議事項
(375´供
  1. 普通株式を全部取得条項付種
    類株式にする定款変更決議
  2. 全部取得条項付種類株式の取
    得決議
特別決議(条文は本文参照)
自己株式の消却決議(178)
取締役会決議(178◆
第三者割当による優先
株式発行
株主総会授権決議
(282ノ2◆
特別決議(343)
株主総会授権決議(200)
特別決議(3095号)
新株発行決議
(282ノ2)
取締役会決議
募集株式の発行決議(199)
特別決議の原則(3095号)
公開会社の取締役会決議の特則
  (201)


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この記事へのコメント

1. Posted by nagasakiyafan   2007年08月02日 23:44
4 長崎屋のファンです。
以前の長崎屋の株をもっています。長崎屋が好きで、更正法適用後も長崎屋によく買い物にいき、頑張っている従業員を応援していました。そして今回再上場するとのことでよろこんでいました。しかし、長崎屋の株が100%減資されたとのことを最近知りました。100%減資が、以前の株主に対して、なんの連絡も通知もなくてできるものなのでしょうか?教えてください。
せめて一報でもあれば、納得できたのですが・・・。

nagasakiyafan さん
コメント有難うございます。
会社更生手続の下では、債権者の多数決で、反対債権者・株主の存在に関わらず100%減資と第三者割当増資を同時に行うことにより、既存の株主と新たな株主であるスポンサー企業の入れ替えが可能です。
会社を応援してきた貴方の心情も理解できなくはありませんが、会社が経営破綻すれば、経営陣はもちろん株主も責任を取らされるということです。長期的に株を保有する場合は、株主も経営に無関心ではいられません(-_-;)
   ---安達司法書士---

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