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2007年01月08日

吸収分割


当ブログの新年一回目は、会社分割を採り上げます。会社法の下では、株式会社又は合同会社は、すべての種類の会社を吸収分割承継会社(以下「承継会社」という。)又は新設分割設立会社として、会社分割をすることができるとされました(会社757条、762条)。

ここでは、株式会社同士の吸収分割に関し、特に留意すべき事項を下記のとおりまとめました。

人的分割
旧商法の人的分割(承継会社が分割に際して発行する株式の交付を受けるのが吸収分割会社(以下「分割会社」という。)の株主)はなくなり、人的分割を実行したい場合は、物的分割(分割会社自体に対して承継会社の株式を交付)と受入れ株式の株主への配当を同時に行うことになります(会社758条8号、763条12号ほか)。この場合、分割会社においてその対価の額に対応して資本金の額を減少させる必要がありますが、旧商法時代は、資本減少は会社分割の内在的手続とされていたので、別途、資本減少の手続は不要であるとされていました。これが、会社分割による変更の登記とは別に、資本金の額の減少の登記が必要とされました(月刊登記情報2007.1参照)。

株主総会の決議を要しない場合
吸収分割契約の承認を受けるための株主総会の開催が不要な場合として、「略式分割」(会社784条1項、796条1項)と「簡易分割」(会社784条3項、796条3項)があります。簡易分割は、会社の純資産又は純資産規模に比して規模の小さい分割であり、略式分割は、分割の相手方が当該会社の「特別支配会社」(親会社)なので、ともに株主総会の特別決議を要しないとされました。
略式分割及び簡易分割の要件等についてはこちら

債権者保護手続
分割会社は、吸収分割後当該会社に対して債務の履行を請求することができない債権者(すなわち、承継会社に免責的に債務が承継されるような債権者)に対し、法定事項(会社789条2項)を官報に公告し、かつ、知れている債権者には各別に催告しなければならないとされました(会社789条1項2号)。なお、当該会社がこの公告を、官報のほか、定款の定めに従い時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙又はホームページによりするときは、各別の催告は不要となります(会社789条3項)。ただし、不法行為により生じた債務の債権者に対しては、各別の催告を省略することができません。これは、不法行為債権者に分割会社の公告ホームページ・日刊新聞紙の公告のチェックを要求することが困難であることを考慮して、不法行為債権者の保護を強化するものです。
承継会社がしなければならない債権者保護手続については、債権者保護の対象及び不法行為により生じた債務の債権者に対して各別の催告を省略することができない点を除けば、分割会社の場合と同様です(会社799条参照)。
【吸収分割公告例】
吸収分割契約の承認(赤下線部分)
効力発生日の前日までに受ければ良いとされている(会社783条1項、795条1項)。株主への通知(会社785条3項、797条3項)
計算書類に関する事項(青下線部分)
1 承継会社である(甲)は、設立間もないため最初の事業年度が終了していない(施行規則199条5号参照)。
2 分割会社である(乙)は、決算公告を怠っており、吸収分割公告と同時に決算公告を行った。
吸収分割の効力の発生
吸収分割の効力は、旧商法の登記の日ではなく、吸収分割契約において定めた「効力発生日」に生ずるとされました(会社758条7号、759条1項)。ちなみに、新設分割の効力は、旧商法同様登記の日に生じます(会社764条4項5項参照)。

登記の申請手続
本店所在地における分割会社がする吸収分割による変更の登記の申請は、承継会社がする吸収分割による変更の登記の申請と同時にしなければならず、当該登記所の管轄区域内に承継会社の本店がないときは、承継会社の本店所在地を管轄する登記所を経由してしなければなりません(商登874条1項2項)。なお、分割会社が承継会社の本店所在地を管轄する登記所を経由してする吸収分割による変更の登記の申請書には、代表取締役の印鑑証明書を添付します(商登87条3項)。

登録免許税
承継会社の登録免許税は、次の式で求めることができますが、
   A = 分割会社の分割直前の資本金−分割会社の分割直後の資本金
   B = 承継会社の増加した資本金−A
   A×1.5/1000 + B× 7/1000
実際には、会社分割自体によって分割会社の資本金は変動しないため、A = 0となり 、登録免許税の額は、資本金の増加額に1000分の7を乗じた額(これによつて計算した税額が3万円に満たないときは、申請件数1件につき3万円)となります(月刊登記情報2007.1、登税法別表第一第24号(一)チ及び登税法施行規則12条4項参照)。なお、分割会社の登録免許税は、申請件数1件につき3万円です(登税法別表第一第24号(一)ネ)。
租税特別措置法80条、80条の2の軽減措置があります。


2011年09月01日追記


2011年6月30日に施行された「現下の厳しい経済状況及び雇用情勢に対応して税制の整備を図るための所得税法等の一部を改正する法律」では、吸収分割の登記に係る登税法別表第一第24号(一)チが改正され、資本金の増加額×7/1000が明確にされました。なお、これに伴い、登税法施行規則12条4項は削除されました。


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