安達司法書士.comブログ:吸収合併 - livedoor Blog(ブログ)

2007年03月05日

吸収合併


吸収合併については、旧商法時代に「合併の苦い思い出」を書きましたが、会社法施行に伴い留意すべき点がありますので、企業買収・企業合併という言葉がメディアを賑わしている今、改めて整理してみました。

対価の柔軟化−平成18年5月1日から一年間は凍結(会社附則4項)−
旧商法における吸収合併では、存続会社は消滅会社の株主に対し、自社の株式を対価として交付していましたが、会社法では、自社の株式に限らず、社債や新株予約権、現金、親会社の株式等を合併対価として交付することができるよう対価の柔軟化が認められました(会社749条1項2号)。これにより、A社がB社を吸収合併する際に、その対価として、B社の株主にA社の親会社であるC社の株式を交付する「三角合併」が可能となりました。この三角合併に関して、C社を外国企業、A社を外国企業の受け皿会社である日本法人、B社を日本企業とする想定のもと、外資による日本企業の買収が活発化することを危惧する声が、財界を中心に高まっています。
三角合併を容易にするために、親会社株式の取得の禁止(会社135条)の例外規定を設けています。
(以下会社800条1項抜粋)
消滅会社の株主に対して交付する金銭等の全部又は一部が存続会社の親会社株式である場合には、当該存続会社は、吸収合併に際して消滅会社の株主に対して交付する当該親会社株式の総数を超えない範囲において当該親会社株式を取得することができる。

株主総会の決議を要しない場合
吸収合併契約の承認を受けるための株主総会の開催が不要な場合として、「略式合併」(会社784条1項、796条1項)と「簡易合併」(会社796条3項)があります。簡易合併は、会社の純資産又は純資産規模に比して規模の小さい合併であり、略式合併は、合併の相手方が当該会社の「特別支配会社」(親会社)なので、ともに株主総会の特別決議を要しないとされました。
略式合併及び簡易合併の要件等についてはこちら

吸収合併の効力の発生
旧商法では、実質的に当時会社が合体する合併期日と登記の日である合併の日は分けられていました。これが会社法では、吸収合併契約において定めた「効力発生日」に一本化され(会社749条1項6号、750条1項)、登記は第三者対抗要件になりました。その結果、法務局の休業日である1月1日の合併も法律上可能です。
独占禁止法は、一定の要件に該当する合併については、公正取引委員会への事前の届出並びに届出受理日の翌日から起算して30日間の合併禁止期間を定めています(独禁法15条参照)。仮に、その禁止期間満了日が吸収合併の効力発生日を過ぎてしまうと、合併当事会社の取締役会において、効力発生日の変更が必要になります(会社790条参照)。
効力発生日変更公告
 当社は、平成19年4月1日予定の吸収合併の効力発生日を平成19年5月1日に変更いたしましたので公告します。
 平成19年3月26日

債権者保護手続
「承認ノ決議ノ日ヨリ二週間内ニ其ノ債権者ニ対シ合併ニ異議アラバ」(旧商法412条1項)のような手続開始の制限がなくなりました(会社789条2項、799条2項参照)。これで、承認総会招集手続、債権者保護手続、株券提出手続(これも手続開始の制限削除)及び反対株主の株式買取手続(会社785条3項、797条3項)に同時に着手することによって、合併スケジュールの短縮を図ることができるようになりました。
合併公告・催告書には、合併当時会社(自社だけでなく)の最終貸借対照表の開示状況を記載する必要があります(会社789条2項3号、799条2項3号)。ただし、特例有限会社には、会社法上の計算書類の公告義務はありません(整備法28条、会社440条)。ちなみに、特例有限会社は、吸収合併存続会社となることができません(整備法37条参照)。

株券提出手続
消滅会社が株券発行会社であるときは、効力発生日の1ヵ月以上前に株券の提出に関する公告及び通知をしなければならないとされました(会社219条1項6号)。さらに、株券提出公告をしたことを証する書面又は当該株式の全部について株券を発行していないことを証する書面は、吸収合併による変更登記の添付書面とされました(商登80条9号、59条1項2号)。なお、「株式の全部について株券を発行していないことを証する書面」としては、株主名簿等が該当します。
旧商法では、合併契約書に記載した場合に限定され、かつ、公告及び通知は、合併承認決議後に制限されていました(旧商法409条9号、413条ノ4)。また、株券提出公告等関係書面は、添付書面にはされていませんでした。

債務超過会社の吸収合併
旧商法時代は、債務超過の状態にある会社を消滅会社とする吸収合併の登記は受理されませんでした(昭56.9.26民四5707号民事局第四課長回答)。会社法の下では、簿価債務超過の会社を吸収合併できるだけでなく、資産の再評価や営業権を計上しても債務超過の状態にある「実質債務超過」の会社を吸収合併することもできるとされています。


2007年05月07日追記


5月1日以後に申請する吸収合併の登録免許税の算定方法が変更になりました。その変更に対応した登録免許税自動計算フォームを用意しましたので、よろしければご利用ください。


記事の内容(画)が良かった!と思われたら、バナークリックをお願いします...
人気ブログランキング
書式の無償ダウンロード・便利ツールのご利用はホームページ

トラックバックURL

この記事へのコメント

1. Posted by 高村公人   2007年04月23日 19:39
いつも、このブログで勉強させて頂いております
<(_ _)>
100%子会社との簡易合併・略式合併について
参考書には、その合併の基準や制限が書いてあるのですが
日程(工程)の期限が記載されている本が見当たりません

合併承認取締役会から何日以内に合併契約の締結を行なうべきなのか・・・

合併契約の締結の日から何日以内に官報に掲載すべき(2週間以内?)なのか・・

お忙しいところ申し訳ありませんが
ご教授頂ければ幸いです


宮井研輔 様

コメントありがとうございます。

ご質問の件ですが、
1.制限はありません。同日でも1ヵ月後でも構いません。
2.本文にも書きましたが、旧商法と異なり、官報掲載開始の制限はありません。むしろ、官報掲載期間満了日の翌日が、合併契約で定めた効力発生日後にならないように注意してください。

今後ともよろしくお願いします。

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔