一時会計監査人の選任 : 安達司法書士.comブログ

2010年03月14日

一時会計監査人の選任

一時会計監査人(登記記録上は「仮会計監査人」)といえば、中央青山監査法人が会社法施行直後に金融庁より業務停止命令を受けたことにより、多くの大企業が、平成18年6月30日以降の監査役会において、一時会計監査人を選任したことが思い出されます。当時、一時会計監査人の予選の可否をめぐって一部で混乱が生じ、欠格事由が生ずる前に一時会計監査人を選任してしまった企業が現れました。


一時会計監査人の選任の経過に関するお知らせ

  平成18年6月28日付当社「一時会計監査人の選任に関するお知らせ」について、一時会計監査人の選任時期は、当社は「会計監査人の退任の申し出時点」以降と解釈し、監査役会において選任決議を行っておりました。当社は、法務省民事局への照会により、一時会計監査人の選任時期は「会計監査人の欠員時点」以降との確認を得ました。これにより、平成18年7月3日開催の監査役会において、一時会計監査人を選任いたしましたので、下記の通りお知らせいたします。


上記のように、一日でも会計監査人の不在状態を作りたくないと考える企業がいる一方で、会計監査人の不在状態を放置している企業もいます。


先週、会計監査人が欠けた企業から、一時会計監査人就任登記の依頼がありました。もちろん、会計監査人が欠けた期間があったとしても直ちに違法になるわけではありません。ただ、本件では、会計監査人の不在状態が8箇月以上続いていること、臨時株主総会を開催するに十分な期間があったにもかかわらず、緊急避難的な存在である一時会計監査人を選任していることから、過料の制裁を受けるおそれがあります(会社976条22号)。


さらに悪いことに、会計監査人に権利義務承継規定は適用されないので(会社346条)、後任者の有無に関係なく会計監査人の退任登記を申請すべきところ、本件では辞任登記についても同じ期間怠っていました。当然こちらも過料の対象になります(会社976条1号)。過料については担当者に説明しましたが、具体的な金額については当方では分かりません。


最後に、一時会計監査人の就任による変更の登記の添付書面について簡単に触れておきます。「株主総会議事録」と「監査役(会)の選任決定書」の違いを除けば、会計監査人の場合と同様です(商登46条2項、54条2項、55条1項)。ちなみに、会計監査人の就任の登記がされると、仮会計監査人の登記は職権抹消されます(商登規則68条1項)。

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