決算期の変更と役員の任期 : 安達司法書士.comブログ

2012年12月08日

決算期の変更と役員の任期

6日付朝刊各紙に「自民党が単独過半数を確保する勢い」の活字が踊っていました。それによれば、16日投開票の総選挙後、自民党を中心とした政権に交代する可能性が高いようです。


野党に転落した自民党が、この3年間で多くの国民の支持を受ける政党に生まれ変わったのでしょうか。自民党の政権公約を見る限り、原子力政策を始めとした過去の失政を謙虚に反省し、真の国民政党として生まれ変わったとは到底思えません。加えて、その総裁である安倍氏は、病気だったとはいえ、5年前に自ら政権を投げ出した人ですよ。民主党がダメだから、また自民党だなんて安易な考えはやめるべきです。


今日は久々に司法書士らしい内容でお送りします。鉄道写真をいつもご覧いただいている方には申し訳ありません m(_ _)m


事業年度の変更は、比較的簡単にできる中小企業においてはよく行われる手続で、株主総会の特別決議によって定款を変更して行います。では、決算期(事業年度末日)を変更した場合、現在の役員の任期にどのような影響を与えるのでしょうか。具体的に見ていくことにします。

  • 定時株主総会開催日 平成24年12月21日
  • 決算期変更の内容  「毎年9月30日」から「毎年12月31日」に変更
  • 取締役の任期規定  選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで
  • 取締役の選任年月日 平成23年12月22日

この例では、現任取締役は、平成24年12月31日の決算期に関する定時株主総会終結をもって退任となります。決算期を変更しなければ、平成25年9月30日の決算期に関する定時株主総会終結の時まであった任期が、結果として9ヶ月も短縮されます。すでにお分かりのように、決算期を変更すると、現在就任している役員の任期もその影響を受けてしまうので、十分な注意が必要です。


早いもので、新会社法が施行されてから6年が経過しました。上場企業においては取締役の任期を1年とする企業が主流となっています。そして、意外と知られていないのですが、変更後の事業年度は、1年6ヶ月まで延長が可能です(会社計算規則59条2項括弧書き)。そこで、これらを踏まえて上記事例を少しひねってみます。

  • 定時株主総会開催日 平成24年12月21日
  • 決算期変更の内容  「毎年9月30日」から「毎年12月31日」に変更した上で、今期は平成25年12月31日まで延長
  • 取締役の任期規定  選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで
  • 取締役の選任年月日 平成24年12月21日

『選任後1年以内に終了する事業年度がないのでは…』と疑問に思われた方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。「選任後1年以内に終了する事業年度」とは、選任から1年を超えない決算期を指すのであって、必ずしも「選任後」とは限りません。したがって、この例では、選任をした定時株主総会の終結時に新任取締役の任期が満了するという実におかしな結果になります。このような不都合を回避するためには、経過措置として定款に附則(参照)を設けます。

(附 則)

第1条

 第〇条(取締役の任期)の規定にかかわらず、平成24年12月の定時株主総会において選任された取締役の任期は、平成25年12月31日に終了する事業年度に関する定時株主総会終結の時までとする。なお、本附則は、平成26年3月の定時株主総会終結時にこれを削除する。

第2条

 第〇条(事業年度)の規定にかかわらず、第〇期事業年度は、平成24年10月1日から平成25年12月31日までの15ヶ月とする。なお、本附則は、第〇期事業年度終了後、これを削除する。

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