代表取締役の予選 : 安達司法書士.comブログ

2019年01月16日

代表取締役の予選

新年が明け早くも2週間が過ぎました。本年も不定期更新の当ブログにお付き合いいただければ幸いです。


さて、昨年末から取り掛かっていた案件が本日無事終了しました。

依頼内容:取締役ABC(代表取締役A)の上場会社の100%子会社において、ABが事業年度末の12月31日をもって辞任するので、12月12日に取締役会を開催して1月1日からの代表取締役としてCを予選する。そして、12月20日付け臨時株主総会(書面決議)でABの後任としてDEを選任する。いずれも就任日は1月1日とする。


すでにお気づきの方もおられると思いますが、代表取締役の予選時と就任時の取締役会の構成メンバーが一致していない場合(本件ではABCとCDE)、代表取締役の予選は認められないというのが登記実務の考え方です(昭41.1.20民事甲第271号民事局長回答参照)。


元日にCDEが集まって取締役会を開催すれば何の問題もないのですが、会社としては、それが難しいから予選にしたわけです。予選が無理でも、辞任日と就任日は予定通りに進めたいというのが会社の意向。そこで、12月12日に開催予定だった取締役会を1月1日に変更して、書面決議(様式参照、脚注番号を押すと脚注内容に移動)で行いました。


取締役会議事録

(みなし取締役会)

  1. 取締役会の決議があったものとみなされた事項の内容
  2.    第1号議案 代表取締役選定の件

     代表取締役Aが、平成30年12月31日をもって取締役を辞任したため代表取締役の資格を喪失し退任したので、後任者として、次の者を選定する。

       代表取締役 C

  3. 上記1の提案をした者の氏名
  4.    取締役 C

  5. 取締役会の決議があったものとみなされた日
  6.  取締役全員から書面による同意を得た平成31年1月1日[1]

 上記のとおり、会社法第370条及び定款第24条[2]に基づく取締役会の決議があったので、この議事録を作り、取締役全員がこれに記名押印する。

 平成31年1月7日[3]

 (商号)△△△製造株式会社 取締役会

 議事録作成者 取締役   C [4]

        取締役   D 

         同    E 


脚注


  1. 監査役の権限が会計監査に限定される場合は監査役設置会社には該当しない(会社法2条9号参照)ので、監査役に異議を述べる機会を与える必要がない(同370条参照)。
  2. 取締役会の決議の省略(みなし決議)についての定めのある定款を添付する必要がある。
  3. 議事録を作成した日を記載する。
  4. 取締役会のメンバーから外れた前代表取締役Aが登記所届出印を押印できないので、取締役全員が個人実印を押印した(商登規61条6項3号)。

最後に、他の添付書面についても少し触れておきます。

  1. 前代表取締役である取締役Aの辞任届には、登記所届出印を押印した(商登規61条8項ただし書)。
  2. 株主総会決議を省略する場合(会社法319条1項)でも、株主リスト(商登規61条3項)の添付は必要であり、その作成者は新代表取締役Cである。
  3. 新任取締役DEは市区町村長作成の印鑑証明書を添付した(脚注[4]参照)ので、本人確認証明書の添付は必要ない(商登規61条7項ただし書)。

以上、備忘録も兼ねてお送りしました。

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