2006年02月28日
特例有限会社から株式会社への移行
会社法施行の際に現に存する有限会社(以下「旧有限会社」といいます。)は、新会社法施行後、「特例有限会社」という名の特殊な株式会社として存続します(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(以下「整備法」といいます。)第2条第1項)。
この点については、新会社法関連本やWebサイト等様々な媒体で語られていますので、今や常識化しつつあります。今回は、商号変更による特例有限会社から株式会社への移行の登記に絞ってお送りします。
特例有限会社は、株主総会で定款を変更して株式会社を名乗ることができます。その場合、「株式会社の移行による設立登記」と「特例有限会社の解散登記」を同時に申請することを要し、その登記によって通常の株式会社へ移行します(整備法第45条、第46条)
通常の株式会社へ移行することにより、直ちに役員任期規定が適用されます。その結果、登記申請時点で選任後3年を経過している取締役は、登記申請日をもって退任(注)1となります。
しかし、定款を変更して商号変更と同時に取締役の任期を10年まで伸長すれば、当該取締役の任期はあと7年あることになります。
ただし、有限会社を設立後11年以上経過し、その間一度も取締役の改選を行っていない場合、商号変更を決議する株主総会において、株式会社の取締役を選任(注)2する必要があります。
(注)1 特例有限会社の登記記録は閉鎖されますので、取締役の退任登記はされません。
(注)2 旧有限会社では取締役が1名の場合、取締役の氏名及び住所のみが登記されました(有限会社法第13条第2項第4号)が、新会社法では取締役の氏名に加えて代表取締役の氏名及び住所が登記されます(会社法第911条第3項第13号、第14号)。
添付書類は、商号変更を決議した株主総会議事録(新商業登記法第46条第2項)、定款(整備法第136条第20項)のほか、同時に取締役を選任すれば、別途就任承諾書(新商業登記法第54条)、印鑑証明書(新商業登記規則第61条第3項、第4項)が必要になります。
登録免許税は、株式会社の移行による設立登記は資本金の額の1.5/1000(商号変更前の特例有限会社の資本金の額を超える部分については7/1000、これによって計算した税額が3万円に満たないときは3万円)、特例有限会社の解散登記は3万円です。商号変更と同時に役員を選任する場合、登録免許税は別途必要ありません。
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