2006年06月19日
株式の譲渡制限の規定の設定
旧小会社(資本金が1億円以下で負債総額が200億円未満の株式会社)経営者の会社法への一番の関心事は、会社組織のスリム化と役員の任期の伸長でしょうか。ご存知のように、これらを実現するためには、定款に株式の譲渡制限の規定が設定されていることが前提 となります。
そこで、旧小会社の株式譲渡制限規定の設定の登記手続について、一般の方にも分かりやすいように順を追って説明してゆきます。
旧商法と同様に、株主総会の特殊決議をもって(会社309条3項1号)定款を変更して、「株式の譲渡制限の規定」を新設し、「監査役」に関する条項を変更します(▼参照)。ちなみに、監査役の権限を会計監査に限定する定款変更を行なうことにより、従来どおり監査役の取締役会への出席義務がなくなります。
(株式の譲渡制限の規定)
第7条 当会社の発行する株式を譲渡によって取得するには、取締役会の承認を受けなければならない。
(監査役設置会社)
第17条 当会社には監査役を置き、その員数は1名以上とする。
② 監査役は、会計に関する事項のみについて監査する権限を有し、業務について監査する権限を有しない。
本定款変更の効力は、《効力発生日》をもって生じるものとする。
ところで、株主総会で忘れてならないのは、監査役の改選決議です。株式の譲渡制限規定のない旧小会社の場合、会社法施行日である平成18年5月1日に、従来の監査役は、任期満了により退任しています(会社法336条4項3号、同法389条1項、整備法53条参照)。したがって、監査役の改選決議が必要となるのです。
登記手続は、株券発行の有無によって異なります(会社219条1項、商登62条、同法59条1項2号)ので、下記チャート図をご覧ください。
登記事項証明書に「株券を発行する旨の定め」欄があるか?
発行済株式(一部を含む)につき、現実に株券を発行しているか?
【株券提出公告等】
定款変更の効力発生日(注)1の1箇月前までに公告・株主等への個別通知
【添付書類】
1.株主総会議事録
2.株券提出公告掲載紙
3.株主リスト(商登規61条3項)(注)2
【株券提出公告等】
公告・個別通知不要
【添付書類】
1.株主総会議事録
2.株主名簿
3.株主リスト
【株券提出公告等】
公告・個別通知不要
【添付書類】
1.株主総会議事録
2.株主リスト
(注)1 「第三百四十八条第一項ノ決議ヲ為シタルトキハ」(旧商法350条1項)のような株券提出公告等の手続開始の制限がなくなり、総会開催日を効力発生日として指定することが可能です。
(注)2 平成28.10.1付商登規則の一部改正に対応しました。
ランキングに参加中…クリックをお願いします.