2007年02月08日
工場財団の消滅
先日、バブル期の不動産投機の失敗の結果債務超過に陥った、とある機械メーカーの工場財団に設定された(根)抵当権登記55件(登録免許税節約のために担保権者かつ担保権の種類ごとに括ったので申請件数は10件(不登規則35条9号参照))を、支援企業の依頼により全部抹消しました。
本件のように(根)抵当権登記の全部が抹消されると、その日から6ヵ月以内に改めて(根)抵当権設定の登記が行われないときは、当該財団は自動的に消滅します(工場抵当8条3項)。しかし、本件においては、当該財団による資金調達の必要性がなくなったこと、差押・仮差押・仮処分等の保全処分の登記(=「所有権ノ登記以外ノ登記」)が存しないこと及び(根)抵当権登記の全部が抹消されたことが謄本上明確になることから、(根)抵当権登記抹消の後件で財団消滅の登記を申請しました(工場抵当44条ノ2参照)。
工場財団消滅の登記(工場抵当44条ノ2)がされると工場財団は消滅し(工場抵当8条3項)、工場財団組成物件の登記記録から、『当該物件が工場財団に属したる旨』の記録が抹消され(工場抵当48条2項、44条:▼画像の青丸で囲んだ部分)、当該工場財団の登記記録(本件では「登記簿」)は閉鎖されます(工場抵当登記規則35条:▲画像参照(クリックすると拡大します))。
−工場抵当法抜粋−
第8条
(1項2項省略)
3 工場財団ハ抵当権ノ登記ガ全部抹消セラレタル後若ハ抵当権ガ第42条ノ2第2項ノ規定ニ依リ消滅シタル後6箇月内ニ新ナル抵当権ノ設定ノ登記ヲ受ケザルトキ又ハ第44条ノ2ノ規定ニ依ル登記ヲ為シタルトキハ消滅ス
第44条
工場財団ニ属シタルモノニシテ登記アルモノカ滅失シ又ハ財団ニ属セサルニ至リタルニ因リ変更ノ登記ノ申請アリタルトキハ其ノモノノ登記記録中権利部ニ其ノ旨ヲ記録シ『当該物件が工場財団に属したる旨』ノ記録ヲ抹消スヘシ
(1項『』部分加筆、2項〜4項省略)
第44条ノ2
工場財団ニ付抵当権ノ登記カ全部抹消セラレタルトキ(中略)ハ所有者ハ工場財団ノ消滅ノ登記ヲ申請スルコトヲ得 但シ其ノ工場財団ノ登記記録ニ所有権ノ登記以外ノ登記アルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第48条
工場財団登記簿ハ所有権保存ノ登記カ其ノ効力ヲ失ヒタルトキ又ハ第8条第3項ノ規定ニ依リ工場財団ガ消滅シタルトキハ其ノ登記記録ニ其ノ旨ヲ記録スベシ
2 第44条ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
工場財団消滅登記の申請書には、代理権限証書を除き、登記原因証明情報を含むその他の書面の提出は必要ありません。登録免許税額は、登記の抹消として財団の数1個につき6,000円(登録免許税法別表第一第5号(八))です。
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この記事へのコメント
みうら さん
コメント有難うございます。
本件は所轄庁と協議のうえ、記事のとおり申請手続きを行いました。
今後のため、具体的に明示していただければ幸いです。
---安達司法書士---