2008年07月07日
新株予約権の行使
今回のテーマは、旧商法時代に発行された転換社債型新株予約権付社債(以下「本新株予約権付社債」といいます。)に付された新株予約権(以下「本新株予約権」といいます。)の行使による変更登記です。
本新株予約権については、まず、社債を新株予約権の行使に際してする出資の目的とする旨の変更の登記がされていることが前提となります。会社法では、金銭の払込みに代えて社債の償還金で払い込む代用払込みは「社債による現物出資」(会社法281条2項)として整理されたからです。
具体的な添付書類は以下のとおりですが、本新株予約権付社債については検査役の調査に関する規定の適用がないため(整備法103条4項、会社法284条1項)、その行使による変更の登記に現物出資関係書面(商登法57条3号4号)の添付は必要ありません。
なお、会社法施行後に発行された新株予約権の行使における現物出資については、検査役による調査を受けるのが原則ですが、いわゆる「少数免除」の場合は検査役の調査を要しないとされており(会社法284条9項1号)、検査役の調査を受けるのは極まれなケースと思われます。仮に、新株予約権の行使が少数免除に当たらない場合、社債を株式会社に対する金銭債権(期限の利益は会社が放棄できる。)として券面額以下で出資すれば(会社法284条9項5号)、検査役の調査を省くことができます(商事法務1742号23頁参照)。
【添 付 書 類】
- 行使の請求があったことを証する書面(商登法57条1号)
- 取締役会議事録(商登法46条2項)
- 資本金の額の計上に関する証明書(商登規則61条9項)
- 委 任 状(商登法18条)
►募集事項等の決定に際し資本金として計上しない額を定めた場合
【登記すべき事項の入力例】
「発行済株式の総数」150万株
「各種の株式の数」
普通株式120万株
優先株式 30万株
「原因年月日」平成20年6月25日変更
「資本金の額」金6900万円
「原因年月日」平成20年6月25日変更
「新株予約権の名称」
第1回無担保新株予約権付社債
「新株予約権の数」3個
「原因年月日」平成20年6月25日変更
「新株予約権の目的たる株式の種類及び数」
優先株式 30万株
「原因年月日」平成20年6月25日変更
最後に、原因年月日と登録免許税について触れておきます。
- 新株予約権の行使による変更の登記の原因年月日は、1か月分をまとめて変更の登記をする場合には、当月末日が原因年月日となりますが(会社法915条3項)、その都度変更の登記をする場合には、行使の日が原因年月日となります(▲【登記すべき事項の入力例】参照:会社法282条)。
- 登録免許税は、増加した資本金の額の1000分の7(これによつて計算した税額が3万円に満たないときは、申請件数1件につき3万円)です(登税法別表第一第24号(一)ニ)。また、自己株式を交付したために資本金の額が増加しない場合は、3万円(同号(一)ツ)となります。この場合、資本金の額の計上に関する証明書の添付は要しません。
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