2009年10月31日
確定根抵当権の移転
今月は、司法書士に対してネガティブな印象を与えかねない報道が相次ぎました。
まず21日に、『国税庁は、過払い金返還請求に携わった全国の弁護士や認定司法書士計697人が、今年6月までの1年間の税務調査で申告漏れを指摘され、その総額は約79億円に上ると発表した。このうち81人は所得隠しを指摘されており、重加算税や過少申告加算税を含む追徴税額は約28億円に上った。』と、各メディアで一斉に取り上げられました。
その翌週の29日には、『阪神高速道路のETCをバイクで強行突破して料金を踏み倒したとして、大阪府警交通捜査課などは、道路整備特別措置法違反の疑いで、司法書士を逮捕』と、また大きく報道されました。彼は「高速道路無料化を先取りした」と苦しい言い逃れをしたようですが、これがメディアに対して格好のネタを提供してしまいました。
司法書士と一口で言っても、人数が増えれば色んな人がでてきますがなぁ…。
いつものように前置きが長くなってしまいましたが、ここらで本題にはいります。
鳩山政権発足から1ヶ月が経とうとするころ、債権回収会社から、債権譲渡に伴う根抵当権の移転登記の依頼がありました。その際、譲渡側の金融機関が、名称変更登記の委任状と元本確定請求に必要な書面を要請していると伝えられました。
いうまでもなく、根抵当権の元本確定前においては、債権譲渡によっては根抵当権は移転しません(民法398条の7の1項)。しかし、本件根抵当権は、相続による債務者の変更登記&債務引受による債務者の変更登記がされていますので、明らかに元本確定登記が不要な事例(▼「登記先例」参照)です。結局、根抵当権者の名称変更登記と債権回収会社への根抵当権の移転登記のみを申請しました。登記事項は、上の画像をクリックしてご覧ください。
−登記先例−
元本の確定後でなければすることができない登記の申請は、担保すべき元本の確定の登記がなされた後でなければすることができない。ただし、次の各号に該当する場合には、元本の確定の登記がなされていないときでも申請することができる(昭和46.12.27民三発960課長通知)。
- 登記簿上の確定期日がすでに到来しているとき
- 根抵当権者又は債務者について相続による移転又は変更の登記がなされた後民法398条の8の1項及び2項の合意の登記がなされないまま6ヶ月を経過しているとき
- 民法398条の20の1項1号、2号若しくは第4号の規定により確定していることが登記簿上明らかなとき(一部修正(注)1)
(注)1 平成15年の民法改正により、根抵当権の確定事由の明確化が図られる(旧398条の20の1項1号(「取引の終了等」)を削除して号数を繰上げ)とともに、根抵当権者の元本確定請求制度(398条の19の2項)が創設された。
☟ 登記原因証明情報(確定根抵当権移転)
本件は、アクセスいただいた皆さんの知識の再確認としてお役に立てばと思い、紹介しました。
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