2010年10月31日
同族会社における100%減資
事業仕分けの第3弾が先週開始し、登記手数料を管理している「登記特別会計」が仕分けの対象となりました。各メディアも取り上げていましたが、登録免許税(収入印紙で納め一般会計へ)と登記事項証明書の手数料(登記印紙で納め特別会計へ)を一緒くたにして論じているコメンテーターもいました。
ただ、登記特別会計は平成22年度末に廃止され、一般会計への統合が決まっています。予定通り廃止されれば、登記印紙も廃止され収入印紙に取って代わることになります。
さて、100%減資と言うと全部取得条項付種類株式(会社法108条1項7号)を想定される方が多いのではないでしょうか。しかし、日本の企業の大多数は中小企業であり、その多くが同族会社ですから、全部取得条項付種類株式を利用した強制無償消却よりも任意無償消却の100%減資の方が多いと思われます。任意無償消却は言うまでもなく、会社が株主から無償で株式を譲り受け、その取得した自己株式を消却する(会社法178条)ことをいいます。
それでは、実際に受託した任意無償消却の100%減資を、登記記録を下に説明していきます。
株式の100%消却
赤線で囲んだ部分は、株主全員から全株式を無償取得し、平成22年10月28日をもってその全株を消却したことにより、発行済株式の総数0株と記録
資本金の額の減少
赤線で囲んだ部分は、株主総会の特別決議によって、平成22年10月28日をもって資本金の額を全額減少したことにより、資本金の額金0円と記録
募集株式の発行
青線で囲んだ部分(上の画像を含みます)は、平成22年10月28日を払込期日とする第三者割当てによる新株式の発行を実施したことにより、発行済株式の総数40株・資本金の額金200万円と記録
100%減資を行った場合には、資本金の額の減少の登記と募集株式の発行による変更の登記の双方を申請する必要があり、中間省略のような形態で減増資後の最終的な金額への1つの変更の登記だけを申請することは許されない(登記申請書に記載された減資額が株主総会の決議に係る減資額と異なること、又は登記申請書に記載された増資額が募集株式の発行による資本金等増加限度額の2分の1以上とならないこと等により、商登法24条9号の却下事由に当たる。)。−松井信憲著「商業登記ハンドブック」より −
全部取得条項付種類株式を利用した100%減資を受託すれば、それをテーマにした記事を投稿します。いつのことやら…(笑)
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